サワノボリ。
遡上するやねこ。上の後光が差している人影は、巨匠かそれとも会長か。
「雨やけど決行するのンか?」
という疑問と向き合いながら、家に帰った金曜の深夜。
天気予報は全国的な大雨を告げている。
アチキ、連日激務の疲れで身体が動かぬ。とりあえず寝ることにする。
そう、M巨匠にお誘いを受け、沢登りの予定があったのだ。
準備はしていない。雨のせいで、前泊から当日朝へと予定が変更されたのだ。
4時に起きる。雨が降っている。
「増水な感じやけど決行するのンか?」
とりあえず準備を始める。今回はクドウ先生も同行する。
多少の無茶でも前に進む大人たちが相手である。油断は出来ない。
最低限の備えとして、わらじだけは買っておいた。
握り飯を握って準備を整える。
そして当然のように決行された。
遡上隊の隊員は4名。巨匠以外はロープワークを知らない初心者である。
3人でしっかりと足手まといになりながら沢を登っていく。
何年か前に登った沢だ。トップを巨匠が全てとってくれているからだけど
連続する小さな滝の登攀に、危うさを感じることは無かった。
いや、嘘やけど・・・(笑)。いちど変なとこに入って焦った・・・。
初心者3人組のロープワークのヘタさと登りのモタツキで、見事にタイムオーバー。
メインディッシュの35mの大滝に着いたときには、時刻は既に17:00。
35mなんて登れないと聞いたときから思っていたが、目の前にするとやっぱ無理。
何年か前にここに来た時は、当然のように巻いたはずだ。
時間も時間である。しかし、巨匠は決断する。
「さ、行こうか」
遡上隊を牽引する巨匠。
初心者が殆どのパーティーで17時からのアタック。
ぼくの知る世界では間違いなく退くべきタイミングである。
標高の高い夏山の稜線では落雷の危険があり、
道の無いハードトレッキングでは、闇に塗れる無謀さを意味する。
しかし、どうやら沢の世界は違うらしい。
3人の初心者を抱えながら、巨匠は前進を選んだ。
我々の何倍もの責務と、疲労を抱えているはずなのに、である。
このとき、やねこは改めてこの人の持つパワーに感銘を受けたわけだ。
残念ながら大滝の攻略アタワズ、退却したが
イチからロープワークを教えていただき、貴重な経験の第一歩となった。
何よりあの人の精神を見習いたい。
で、稜線に出たらもう日本×オランダが始まる時間。
家で嫁さんが料理とワイン抱えて待っているはずである。
僅かに電波が通じた登山道でクドウさんの携帯を奪いとり、電話。
「オレオレ、下山遅くなる、無事」と3秒で済ませる。
すまん、ヨメヨ・・・。テレビ買ったのに、ろくに家で観戦してないね。(笑)
そして、巨匠はその決断が間違っていなかった証拠に、
我々を怪我も無く、無事に麓まで送り届けてくれた。
人と関わるとか、人を率いるってのはこういうことなんだね。
いつも独りのオレは、すごいなぁと感心しきり。
ああ、楽しかった!
またぜひお願いします!
※写真提供・・・クドウさん
by yaneko16 | 2010-06-21 23:14 | 遠足